ミュージカルならではのスケールの大きさが魅力
中川さんは本作の日本初演時(2018年)にも出演されていますが、前回の公演の印象も踏まえて、どのような作品か教えていただけますか?
俳優たちが約3時間休まず舞台上を駆け巡っている、そんな印象の作品です。歌も次々出てくるし、台詞も喋り続けているし、踊り続けているし…。テンポよく進んでいくので観ていて飽きないと思いますね。
演出の福田(雄一)さんの言葉をお借りするんですが「ミュージカルのミの字も知らない人が観ても面白いと思っていただける」作品 です。笑えるところのたくさんあるコメディ作品ですし、物語は本当に分かりやすいので、何も準備しなくても楽しめると思います。
タップダンスのシーンも見どころのひとつなんですが、全員で群舞として踊るので、すごく華やかです。普段タップダンスを生で観る機会自体あまりないかもしれませんが、一人ではなく大人数で踊るというスケールの大きさも、ミュージカルだからこそ味わえるものだと思います。とにかく生の俳優たちの演技や歌、ダンスといった技、生身の人間から発せられる力のすべてが詰まったエンターテインメントの真髄を押さえた作品 ですね。
中川さんの演じる「ニック・ボトム」は、どんなキャラクターかご紹介いただけますか?
ニックは、しがない劇作家です。「ヒット作を作りたい」「後世に残る作品を作って、歴史に名を刻みたいんだ!」というひたむきな思いを持って頑張るけれど、大失敗していく…という人物です。そういう思いって、きっと誰もが少なからず抱くものなので、共感してもらえるようにチャーミングに演じたい なと思っています。
実は、僕はどちらかというと、天才といわれる役柄を演じることが多かったのですが、今回演じるニックは、どこにでもいるような“普通の人”です。これまで演じてきた他の役とは全く違う感じの人物なので、初演の時は「どうして僕にオファーいただいたんだろう」と思ったことを覚えています。ニックは自分に自信がなくてネガティブで、ずっと愚痴を言ってるし、僕自身の性格とも真逆なんですよね。
でも、そういう自分と真逆の人物を演じることができるのは幸せ だなと、今回再演することになって改めて感じています。僕は今年で43歳になるんですが、ニックの人間味みたいなものをより深く感じられる年代に入ったのかもしれないですね。初演の時よりも、自分ができるお芝居の幅も広がっていますし、今だからこそ演じられるニック・ボトムをお見せしたいなと思っています。
台詞を喋るのと同じように歌う
本作の音楽についてはどのような印象をお持ちですか?
見事にコメディを体現している音楽だなと思っています。全編通してうきうきするような、すごくリズミカルなナンバーが多いですね。演じる側としては、話している意識に近い感覚で歌う曲が多いという印象です。歌い上げるというよりも、台詞を喋るのと同じように歌うところが、この作品の音楽の魅力 だなと思っています。
有名なミュージカルの楽曲がたくさん登場するシーンもあるそうですね。
そうなんです。予言者ノストラダムスの元へニックが予言を聞きに行くんですが、ノストラダムスが見た未来で流行っている作品として、有名なミュージカル、たとえば『アニー』や『RENT』のようなミュージカルのシーンや楽曲が登場します。本当に短いシーンの連続なんですけど、ミュージカル好きな人だったらきっと分かりますし、あまり知らない曲があっても、華やかで楽しんでいただけると思いますよ 。
音楽の力で主人公の人生を疑似体験
多くのミュージカル作品に出演されてきた中川さんの思う、ミュージカルの魅力とはなんでしょうか?
ミュージカルには歌とか芝居とか踊りとか色々な要素がありますが、それぞれのプロフェッショナルの方が一つに集まって、その全ての要素が集約されているというのが魅力 だと思います。
作品を観ることで元気をもらって、また明日から頑張ろうと思ってもらえることが、エンターテインメントの本質 ではないかなとも考えています。作品それぞれの良さと観る人の好みがピタッとハマると、ミュージカル鑑賞は生涯記憶に残る素晴らしい経験になるはずです。僕もそういった体験がありました。
ご自身が初めてミュージカルを観た時のことは覚えていらっしゃいますか?
よく覚えていますよ。子どもの頃に母親がミュージカルに連れて行ってくれて、音楽座*1 の『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』とか、『マドモアゼル・モーツァルト』とか、あとは市村正親さんと本田美奈子さんが出演されていた日本初演(1992年)の『ミス・サイゴン』を小学生の時に観ました。
僕の生まれは仙台なので、仙台から母に連れられて東京へ行って、帝国劇場の最前列で『ミス・サイゴン』を観た時、子どもながらにすごい衝撃を受けましたね。
音楽の力で物語の中に自分が引き込まれていく ような、主人公の歌声がまさに今その人が感じている感情として伝わってくることで、主人公の人生を疑似体験 しているような、そういう錯覚を起こしたんです。そんな経験があって、ミュージカルってすごいな、音楽ってすごいなと思いました。
やはりそういったご経験がミュージカルの世界に入るきっかけになったのでしょうか?
子どもの頃、ミュージカルと出会う前から音楽家になりたいという夢はあって、作曲したりピアノを習ったりはしていたのですが、その夢が叶ってシンガーソングライターとしてデビューしたときは、まさかミュージカルに出るなんて全く思っていませんでした。その後、ミュージカル『モーツァルト!』(2002年)に出演しないかとお声かけいただいて、ミュージカルの世界に飛び込むことになったんです。
その時に「そういえば、子どもの頃ミュージカルを観て『将来ミュージカルの曲を作ってみたい!』と思ったことがあったな」と思い出しました 。思っていたのとは違う形ですが、ミュージカルとの再会を果たすことになり、今もずっと舞台に立たせていただいています。
お客様を誰一人置いていかない
本作が初観劇となるお客様へ向けて、観劇をもっと楽しむコツなどはありますか?
パンフレットを買うとより楽しめると思います 。観劇前に買って読むのはもちろん、幕間*2 で買うのもなかなか乙ですよね。一幕を観て「これは面白いぞ。あの俳優さん誰だろう?これからどんな展開になっていくんだろう?確認してみよう」という感じで。「あの人かっこいいかも」「あの人かわいいかも」と思う“推し”を見つけたら、その推しの名前を確認するために見てみてほしいですね。推しをよく見るためにオペラグラスもあったほうがよいかも!
最後に、本作を観劇してみようかなと思っている皆様へメッセージをお願いします!
2025年の年末年始に絶対観てほしい作品 です。観ないとダメです(笑)年末年始はコンサートやイベントもたくさんありますし、ご家族で出かける機会も多いと思います。このミュージカルも子どもから大人まで楽しめるので、ご家族一緒に観劇するのもおすすめですよ。予備知識はなくても大丈夫です。劇場にいる全てのお客様誰一人置いていきませんよ 、という気持ちでお待ちしています!
VIDEO www.youtube.com
プロフィール
中川 晃教(なかがわ あきのり)
2001年、自身が作詞作曲の『I Will Get Your Kiss』でデビュー。2002年ミュージカル『モーツァルト!』でタイトルロールを演じ、第57回文化庁芸術祭賞演技部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。2016年にはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にて、フランキー・ヴァリ役を演じ、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。近年の主な舞台に「ジャージー・ボーイズ」「フランケンシュタイン」など。
公演情報
公演名
ミュージカル「サムシング・ロッテン!」
日程・会場 ▶︎お問い合わせ
【東京公演】
2025年12月19日(金)~2026年1月2日(金)
東京国際フォーラム ホールC
▶︎キョードー東京
0570-550-799 (平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
【大阪公演】
2026年1月8日(木)~2026年1月12日(月・祝)
オリックス劇場
▶︎︎ミュージカル「サムシング・ロッテン」大阪公演事務局
0570-666-255(土日祝除く平日12:00〜17:00)
Webサイト
https://www.s-rotten2526.jp/
舞台鑑賞は「チケットのサブスクrecri」で!
厳選されたおすすめ作品の中から、毎月舞台を観られるチケットのサブスクサービスです。演劇、ミュージカル、歌舞伎、コンサートなど、recriが提案する作品の中から好きなものを選ぶと、チケットが自宅に届きます。自分では選ばない作品を観てみたい方や、あたらしい趣味をつくりたい方にご利用いただいています。月に一度の自分へのご褒美や、ご家族やご友人へのプレゼントにも最適です。必見の名作から話題の最新作まで、作品との心がうごく出会いを、お届けいたします。
subscription.recri.jp
引用をストックしました
ストック一覧を見る
閉じる
引用するにはまずログインしてください
ログイン
閉じる
引用をストックできませんでした。再度お試しください
閉じる