
2025年12月に東急シアターオーブで上演される『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2025』。2016年の初演以来、大人気のクリスマスショーです。テーマパークのショーのように観客も一緒に楽しめる本作は、舞台鑑賞初心者の方にもおすすめ。今回は、2024年から本作の演出を務める金谷かほりさんにインタビュー!本作の見どころやショーの楽しみ方について、たっぷりお話を伺いました。

一緒に笑って「わーい!」と楽しむ
今回の『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2025』について、見どころや注目してほしいポイントを教えていただけますか?
まずは、日本ではあまり見られなくなっている「レビュー」スタイルのショーを楽しめるところがポイントだと思います。レビューショーとは、一つの物語があるわけではなく、歌と踊りと色々なシーンを楽しんでいただくものです。今回のショーでは各シーンを楽しんでいただけるように、クリスマスの風景をたくさん作っています。
ニューヨークの5th Avenue(5番街)の雰囲気などは本当に「ザ・クリスマス」という感じなので、ブロードウェイのクリスマスといえば絶対外せないと思って、ショーのシーンにも取り入れています。私自身、クリスマス時期のニューヨークに何度も行っていますが、街中が輝き出して歌っているかのような、本当に素敵な景色なんです。それを再現したくて映像やセットで表現しています。
そのようなクリスマスらしい景色の中で、日本では普段観ることができない海外の素晴らしいスキルを持ったシンガーとダンサーたちの、歌や踊りを楽しんでいただけるというところも見どころですね。

日本のお客様向けに演出する上で工夫されている点などはありますか?
キャストが客席に降りて行くシーンを多く入れています。やはりただ座って見ているだけだと、「よその国」のキラキラしたものを見ているだけになってしまうと思うんです。すぐ近くまで来てくれたら、とても親近感が湧くのではないかと考えて、ちょっと多めに客席を使わせていただいています。
私自身、エンターテインメントが大好きですが、好きなものが与えてくれるときめきやきらめきは人にとって、とても重要なものだと最近思っています。「推し活」は健康に良いという説もありますが、確かにそうだと思いますね。好きなものを観ると心がときめいてキラキラしますから。クリスマスはまさにキラキラした気分になるのにぴったりなシーズンだと思うので、このショーで心のときめきを感じていただけると嬉しいです。
本作は2016年から上演されていて、金谷さんは昨年(2024年)初めて演出を務められていますが、昨年の公演を踏まえて演出を変えた点などはありますか?
昨年、小さなお子さんを連れてご家族で来てくださる方が思ったよりも多かったので、今年はまさにテーマパークがモットーとしているような、ご家族皆さんで楽しんでいただけるエンターテインメントという形を、もっと強く出していけるように考えています。例えば、お子さんがサンタさんと一緒に歌ったり踊ったりできるシーンも作りました。舞台を「じー」っと観るのではなくて、一緒に笑ったり声を出したりしながら「わーい!」という感じで楽しんでいただける空間作りに力を入れています。

好きなものを観ると心がキラキラする
スケートのパフォーマンスも見どころだと伺っています。
そうなんです。ダンスもスケートも両方できる特殊なフロアを導入しているので、ダンスをしているところに、舞台セットの入れ替えなしでスケーターの方が入ってきて滑り始める、ということができるようになっています。まだ日本ではこのショー以外では使っていない特殊なフロアなんですよ。初めて観たら本当にびっくりすると思います。舞台全体が滑れるようになっているので、広い面積でダイナミックなスケートのテクニックを取り入れることもできます。
私も最初は半信半疑だったんです。踊りは足を高く上げたりする、ちょっとでも滑ったら空中に浮いて頭を打ってしまうようなダンスなので、同じフロアでスケートができるなんて、なかなか信じられなくて。でも、そのフロアは両立するんです。見た目も手で触ってみても普通の硬い床のようで、不思議なんですよ(笑)
このような最新の技術とエンターテインメントの関係というのは、すごく密接だなと思っています。テーマパークのショーでも最新テクノロジーを使うことはよくあります。お見せしたいものと最新テクノロジーを使ってできることが一致した時に、最高の瞬間が生まれるんですよ。
たくさんのクリスマスソングが劇中で使われるとのことですが、楽曲についても教えていただけますか?
お子さんにも楽しんでいただける定番のクリスマスソングはもちろん、ゴスペルのゴージャスなクリスマスソング、それからポップスのような皆さんに馴染みのある曲など、30曲以上お楽しみいただけます。「これも知ってるあれも知ってる」という気持ちになれるように選んでいます。シーンに合わせてアレンジは加えていますが、皆さん知っている曲が必ずあるはずですよ。
アメリカから来日するキャストたちの印象はいかがですか?
一人ひとりのダンサーやシンガーのスキルの高さはもちろん、日本のお客様にこのショーをお届けするんだ!という意欲がとても強いチームですね。昨年のリハーサルは、私もアメリカに行かせていただいて一緒に作り上げていったのですが、とてもいい仲間になれました。日本のお客様に楽しんでもらいたいという気持ちが溢れているチームとともに、今年も素敵なクリスマスをお届けできるように私も頑張りたいと改めて気合いを入れています!

ショーを作るのが好きで続けてきた
金谷さんは元々東京ディズニーランドのダンサーをされていたということですが、ダンサーから演出家になられたきっかけはなんだったのでしょうか?
ダンサーをしていた24歳の時に「ショーを作ってみることに興味はない?」と聞かれたのがきっかけでした。子どもの時からショーに携わる仕事はやってみたかったので、作るほうも面白そうだと思って「やってみます」とお答えしたんです。最初はダンスの振付から始めて、そのうち「演出もいけるんじゃない?」と言われ、それも「やってみます」と始めてみたら、すごく好きな感じの仕事だったのでそのまま続けることにしました。
ショーの演出は、頼んでくださる方がいるので、その方の期待に応えなきゃと思って、とにかく作って、お客様が拍手してくださって、また次頼んでいただいて…。目先のショーを成功させようと続けているうちに、そのまま42年経っていました(笑)最初から演出家になりたい!という夢を描いていたわけではなかったのですが、ショーを作るのが好きなので、どんなお仕事でもやりたいという気持ちを積み重ねてきて、今に至っています。
演出家とはどのようなお仕事か、金谷さんが意識していらっしゃることを教えていただけますか?
演出家の仕事は、シンプルに言えば、こちらが意図した「こういう風に見てほしい」というところを整えて、お客様の前に出すことだと考えています。コンサートやミュージカル、今回のようなショー、それぞれに演出の仕方は違ってくると思いますが…お客様に何を届けるか考えてきちんと届くようにすること、そして届けたものでお客様にどのように喜んでもらうか考えて、実施していくというのは意識していますね。
本番では客席の一番後ろから、お客様が楽しんでくださっているか反応を見させていただいています。お客様の背中とかどよめきを見ながら、きちんと届いているみたいだなと感じたり、ここはちょっと届いてないかなと思ったところは手直ししたりしています。
最後に、このショーを初めて観る方へメッセージをお願いします!
劇場だからといってかしこまらずに、はしゃいでいただきたいので、大きな声を出す準備をして来ていただけたらと思います!お子さんだけでなく大人の方も一緒ですよ。舞台上でどんどんシーンが変わっていくのを観ていると、本当にニューヨークに行ったような気分になれると思います。ブロードウェイのクリスマスってこんな感じなんだ、楽しいなと思っていただきたいです。

プロフィール
金谷 かほり(かなや かほり)
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| 公演名 | 『ブロードウェイ クリスマスワンダーランド2025』 |
|---|---|
| 日程 | 2025年12月13日(土)~12月25日(木) |
| 会場 | 東急シアターオーブ |
| Webサイト | https://bcw-japan.jp/ |
| お問い合わせ | キョードー東京
0570-550-799(平日11:00-18:00/土日祝10:00-18:00) |
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