「心に残る宝物のような芝居を見つけに来て」戦後日本を元気づけたスター誕生物語(『わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語-』演出家:齋藤雅文さん/俳優:キムラ緑子さん)

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2026年1月より、三越劇場(東京)、南座(京都)で上演される『わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語-』。本作の補綴・演出を務める齋藤雅文さん、笠置シヅ子を演じるキムラ緑子さんにインタビュー!この作品は、近年NHKの朝ドラでもヒロインとなった笠置シヅ子の半生を描いています。舞台鑑賞初心者にもおすすめしたい歌と踊りが満載の音楽劇である本作。その見どころや、お二人の考える舞台の魅力についてお話を伺いました。

『わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語-』あらすじ

香川で生まれ大阪で育った笠置シヅ子。音楽家・服部良一により才能を見出された彼女は、大阪松竹少女歌劇団に入団し、やがてトップスターの座へ。東京のショーの舞台を目指して上京したシヅ子は、花森興業の御曹司・花森英介と出会って恋に落ちます。戦時中の厳しい時代にも歌い続けたシヅ子の明るく力強い歌声は、終戦後日本中の人々を奮い立たせる大きなエネルギーとなり、ヒット曲「東京ブギウギ」が誕生します。

愛情や希望、勇気を歌に乗せて伝える

本作はどのような舞台か、見どころなどを教えていただけますか?

齋藤さん:この作品は、笠置シヅ子という日本のスター誕生の物語です。シヅ子は昭和20年代、戦後すぐの日本の人々を歌で励まし勇気づけた人ですが、その舞台上の姿だけではなくて、楽屋や日常生活の姿も描いた「バックステージもの」になっています。スターが成長して恋をして困難を乗り越えていく人間ドラマとして、涙と笑いのたくさんあるお芝居になると思います。

キムラさん:終戦後の日本が立ち上っていくためにみんなが生きる力を出そうとしていた勢いのある頃の話だから、とてもエネルギッシュです。戦後の日本を元気づけた笠置シヅ子という方がいたことは、これからの時代にもずっと伝わっていってほしいと思っています。シヅ子さんやあの時代について知るためにも観ていただけると嬉しいです。音楽劇ということで「東京ブギウギ」などの笠置シヅ子さんの名曲がたくさん出てきてダンスも入るので、すごく華やかなステージになると思います。

齋藤さん:もしかしたら、今の時代と状況が似ているかもしれないですね。もやもやすることがいっぱいある中で、歌や踊りがスカッとした気分にしてくれた。今の時代も、何の悩みもなくて本当に元気になれることって、あまりないように思いますから。そういう状況でも、愛情とか希望とか勇気を歌に乗せることで堂々と伝えられるっていうのは、エンターテインメントとして大事なことです。今回も、それができるような人たちが、出演者もスタッフも揃ってますよね。

キムラさん:そうですね。ダンスの振付をしてくださるのが前田清実さんという方で、演劇の世界では知らない人はいないくらいの方なんです。前田さんの元で育ってきた方たちも出演するので、ショーとしても超一流のものが観られると思います。

情熱的で稀有な力を持つ笠置シヅ子という人

キムラさんは本作のご出演が決まった時に「笠置シヅ子をいつか演じてみたいと思っていた」とコメントされていましたが、それはなぜでしょうか?

キムラさん:もうずいぶん前なんですが、M.O.P*1という劇団にいた頃に、衣裳スタッフをやっていた友人に「いつか笠置シヅ子役をやってほしい」と言われたんです。その時に、シヅ子さんの曲も聴かせてもらっていて。友人にそう言ってもらってから、ずっと心の中に残っていました。

実際に演じることになって、どんなところが魅力的な方だと思いますか?

キムラさん:とても情熱的でなかなか普通の人にはない力を持っている方だと思います。生まれてすぐ養母に引き取られて愛情いっぱいに育てられた方で、たくさん愛情を受けて育ったからこそ色々な人に愛を与えることができたんじゃないかなと。いっぱい人を楽しませたかった方、という気がすごくしています。

私にはないような稀有な力を持っていらっしゃる方の人生を演じさせてもらえるなんて、こんなに嬉しいことはないと思っています。今改めてシヅ子さんの曲を聴いて、すごくおしゃれな歌だなということにも気づきました。歌ってみると難しい歌ですし、センスにあふれていて作曲家の服部良一さんの天才ぶりも感じます。

齋藤さんは、笠置シヅ子という人にどのような印象を持たれていますか?

齋藤さん:ものすごく明るい太陽のような方だと思います。でも、バックステージでは反対に、月のような部分もあったと思うんです。服部良一さんや多くの人の助けもありましたが、時代を切り開いていった人ですから、寂しかったり苦しかったり孤独だったり…いろいろな経験をされたと思います。

新しいことをずっとやり続けていた人ですが、きっと緑子さんにも共通の部分があるのではないでしょうか。緑子さんも常に新しいもの、新しい作品や新しい役を開拓し続けていますからね。月のようなふりをしているけど、ものすごく熱い太陽のようなエネルギーがある方なんですよ。私は緑子さんのそういうところが大好きなんです。

キムラさん:嬉しいです、ありがとうございます!努力して少しでもシヅ子さんに近づけたらと思います。

人間の力が集まった時に生まれる感動

お二人の考える生で観る舞台の魅力をお伺いできますか?

キムラさん:舞台って観に行けば心がワクワクするものがいっぱいありますよ!素晴らしい舞台に出会ったときは、他のどんなエンターテインメントにも勝る感動があると思います。舞台ってキャストだけではなくスタッフも一緒になって、大人がたくさん集まって必死で真剣にチャレンジして作るもの。それだけ人間の力が集まってるものなので、うまくいったときのパワーって半端じゃないんです。それを求めて私は劇場に行きます。「体が熱くなりたい!燃えたい!感動したい!」っていう時に。

実は初めて観た舞台でそういう経験ができたことが、芝居をやりたいと思うきっかけになったんです。つかこうへいさん*2の『熱海殺人事件』を初めて観たとき、衝撃を受けて席から立ち上がれなくなりました。運みたいなところもありますが、最初にどんな作品に出会うかって大事ですね。今回の『わが歌ブギウギ』が初めての素敵な舞台との出会いになってくれたら、そんな幸せなことはないですね。

齋藤さん:舞台って、その場にいた人の記憶にしか残らないんです。演じる側も観る側も一回限り。同じ時間、同じ空間を一緒に体感できるのは観客と演じる人だけです。その体験はとても贅沢でかけがえのないものだと思います。ともかく一回良い芝居に出会って、その幸せや感動を感じてほしいですね。

その感動が欲しくて、私自身もずっとお芝居をやってるんだろうね。心が動くことって日常の中でどんどん少なくなると思うんです。毎日毎日同じことをやって、もやもやすることもたくさんあって。そんな中でも、劇場にいる2時間や3時間、その瞬間に出会ったものは心に一生残りますからね。

最後に、本作を観劇してみたいという方に向けてメッセージをお願いします!

キムラさん:損得なしに心に響くお芝居をお見せします!お正月ですし、明るい気持ちで劇場に来てくださると思うので、その気持ちに応えて「ああ良いお芝居!」「とても楽しかったな!」と言ってもらえるものを作っていけたらと思っております。熱いハートを届けられるよう頑張りますので、ぜひ観に来てくださいね。

齋藤さん:心に残る宝物のようなお芝居を作りたいと思います。辛い時や苦しい時にも一本良い芝居の思い出を心の中に持ってるだけで人生は違うんだよ、ということを若い方にも伝えたいですね。それがなかったら生きてこられなかったと思いますから。皆さんもそういう宝物を見つけに来てくれたら嬉しいです。

プロフィール

齋藤 雅文(さいとう まさふみ)

1954年、東京都出身。1980年に劇団新派文芸部に入る。新派の他にも、歌舞伎やミュージカル、新劇など商業演劇を中心に幅広いジャンルの作・演出を手がける。『恋ぶみ屋一葉』にて読売演劇大賞最優秀作品賞、新作歌舞伎『竜馬がゆく 立志編』で大谷竹次郎賞を受賞。コロナ禍の2020年に、演劇ユニット「新派の子」を立ち上げ独自の活動も展開。近年の作品に、新派の子×玄狐 合同公演 『千里眼の女』(作)、『わが家~或る作家とその妻そして女中の記~』(演出)、『華岡青州の妻』(演出)、KAAT×新ロイヤル大衆舎 vol.2『花と龍』(脚本)など。

キムラ 緑子(きむら みどりこ)

兵庫県淡路島出身。劇団M.O.P.を経て、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」「おむすび」、映画「大名倒産」「花まんま」など数多くの話題作に出演。近年の主な舞台出演に『トッツィー』(2024年)、『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』(25年)など。2026年3月には、リーディングドラマ「終わった人」EXシアター六本木他、全国ツアーが控える。

公演情報

公演名 わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語-
日程・会場 【東京公演】
2026年1月2日(金)~2026年1月20日(火)
三越劇場

【京都公演】
2026年1月24日(土)~2026年2月1日(日)
南座
Webサイト https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/mitsukoshi_2601/
お問い合わせ チケットWeb松竹
https://www1.ticket-web-shochiku.com/t/

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subscription.recri.jp

*1:1984年に旗揚げした関西の劇団。演出家、脚本家、劇作家のマキノノゾミが主宰し、2010年まで活動。

*2:劇作家、演出家、小説家。1970年~80年代初頭にかけて若者の熱狂的な支持を得て「つかブーム」といわれる現象を巻き起こした。