「ここぞという時に歌ってくれる気持ちよさ」“死のノート”が正義とは何かを問いかける(『デスノート THE MUSICAL』俳優:渡邉蒼さん、三浦宏規さん)

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2025年11月より東京建物 Brillia HALLにて上演される『デスノート THE MUSICAL』。人気漫画『DEATH NOTE』のミュージカル版となる本作は、2015年の初演以来、度々再演を重ねてきた大ヒット作。今回2025年版で、夜神月(やがみライト)を演じる渡邉蒼さん、L(エル)を演じる三浦宏規さんにインタビュー!初めてのミュージカル鑑賞にもおすすめの本作に出演されるお二人に、舞台鑑賞初心者の方に知ってほしいミュージカルの魅力などをたっぷり伺いました。

『デスノート THE MUSICAL』ストーリー

成績優秀な高校生・夜神月(やがみライト)(加藤清史郎/渡邉 蒼 Wキャスト)は、ある日、「このノートに名前を書かれた人間は40秒で死ぬ」と書かれた一冊のノートを拾う。それは、死神・リューク(浦井健治)が退屈しのぎに地上に落とした“死のノート(デスノート)”。ライトはデスノートを使って、法で裁ききれない犯罪者の粛清を始める。世間では、犯罪者たちに手を下す正体不明の存在を「キラ」と呼び、崇拝する者も現れる。警察の捜査が難航する中、これまであらゆる難事件を解決してきた名探偵・L(エル)(三浦宏規)が事件を解決すべく動き出す。

何が正しくて、何が悪なのか、観客に問う

漫画原作なので、すでにストーリーを知っている方も多いかもしれませんが、改めてどういった作品なのかお伺いできますか?

渡邉さん:警視庁に勤める父親を持つ、夜神月(やがみライト)という一見ごく普通の青年が、たまたまデスノートを拾ってしまって…というところからお話が始まります。

三浦さん:デスノートという人を殺せる道具を手に入れたことによって、普通の高校生だったライトの価値観や正義感がどんどん捻じれていってしまって、それに惑わされる民衆や、ライトを止めようとして動くL(エル)や警察の人々の姿を描いています。中心になるのは「ライト vs エル」の戦いなんですが、たくさんの人がライト側、エル側それぞれの立場に分かれて巻き込まれていく群像劇的な側面があります。

「正義」とはいったい何なのか、何が正しくて、何が悪なのか、ということを問いかける作品であり、強烈なインパクトのある楽曲も味わっていただけるミュージカルだと思います。

原作ものの特徴は「正解」があること

お二人とも、これまでも漫画やアニメを原作としている作品に出演されていますが、漫画・アニメならではのキャラクターを演じる時と、よりリアルな現実世界を生きる人物を演じる時で、何か違いはあるのでしょうか?

三浦さん:漫画やアニメなどいわゆる2次元の作品が原作になっているものは、すでにキャラクターの絵があるので、お客様がもう「正解」のイメージを持っているんですよね。そのイメージの存在は強いので、ビジュアルにこだわったり、キャラクターに顔が似ているキャストを選んだり、という見た目の部分を大事にしている舞台は多いかもしれません。ただ、作品によりけりなので一概には言えないですね。今回の『デスノート』でも、原作のキャラクターに見た目が似ている出演者を集めたかと言ったら、そういうわけでもないと思いますし…。

そもそも、どこまでをキャラクターと捉えるかってちょっと難しいところもあるんですよね。例えば、ミュージカルで過去に実在した偉人の役を演じるといっても、物語に描かれた人物はもう実際のその人というよりもキャラクターに近いと思います。一方で、デスノートのライトのような、キャラクターだけどすごくリアルに描かれている人物もいるので、あまり漫画・アニメのキャラクターと、それ以外の役で、演じる側として違いはないのかなとは思います。

漫画・アニメ原作に限らず、原作がある舞台というのは多いですが、何が原作であっても、脚本を読んで自分の中に浮かんだ情景を体現するという作業は変わりません。その作業をするために、原作へのリスペクトをまず第一に考えないといけないと思っています。原作への理解があるからこそ、舞台ではどういう風にしていきたいのかを考えていくことができると思います。もちろん自分一人で考えるわけではなく、演出家の方のビジョンを中心に作っていくことになりますね。

渡邉さん:登場人物を中から理解していくっていうことが、どんな役であっても大事だと思います。キャラクターの性格や特徴には、育ち方とかどんな人生を歩んできたかが影響しているんじゃないかと。普通の人生を歩んでいれば普通の人間になったはずで、キャラクター自身も自分から変わった人生を歩みたくてそうなったわけではないと思うんです。

エルと比べると、まだライトは普通なのかもしれないですが、すごく頭が良かったり正義感が強かったりっていう少し普通とは違う背景がある中で、デスノートを手に入れるという彼の人格に大きな影響を及ぼす出来事がたまたま起こってしまう…。そういう背景から細かく細かく理解して作っていけたら、嘘にならず、無理に演じているように見えずに、自然にその人物としてお客様の目に映ることができるんじゃないかなと思います。

三浦さんは、エルという超人的な頭脳を持っている人物を演じますが、特殊な能力を持つキャラクターを演じる上での準備や心構えはされているのでしょうか?

三浦さん:エルは出自の部分で孤児だったという背景があったり、癖や好きなもの、喋り方など、何もかもが特徴的なキャラクターですが、その全てにしっかりと意味を持たせたいです。例えば、姿勢が悪いという特徴があるんですが、エルなりの理論があってそうしているんですよね。甘いものをよく食べるのも、頭を使うからかなとか、歩き方一つとっても理由があると思って演じていきたいです。外側だけを作るんじゃなくて、やはり内側からきちんと理解して作っていくことで、皆さんが想像するエルを形作ることができると思いますね。

ミュージカルの歌は嬉しい時にスキップするのと同じ

お芝居にダンス、歌など様々なジャンルで表現者・アーティストとして活躍されているお二人ですが、お芝居だけではない様々な表現を組み合わせて作られるミュージカルの魅力はどういったところだと思いますか?

三浦さん:非日常を体験するっていう感覚は、どの舞台芸術でもあることですが、ミュージカルにしか出せない高揚感があると思います。ミュージカルって、見たことのない人からしたら「なんで急に歌うの?」と思うかもしれませんが「ここで歌ってくれ!」と思うシーンで歌ってくれる気持ちよさがあると思います。観に来たら分かるはず!歌う俳優も、演奏者もみんなプロフェッショナルなので、その技術の高さも楽しめると思います。

渡邉さん:人間の気持ちが高ぶることで自然と歌が出るのがミュージカルというものだと思っています。すごく嬉しい気持ちだったら、普通に歩いてたのがスキップに自然と変わっていったり、朝起きてすごく綺麗な朝日が出てたら腕を広げたくなったり、というのと同じようなものだと思います。人の感情の動きを音楽という直感的なもので、お客様に届けることができるところがミュージカルの魅力だと思います。

「こういう風に観るとよりミュージカルを楽しめる!」というアドバイスはありますか?

三浦さん:『デスノート』のように何度も再演している作品は、今までの公演の楽曲を何かしらの方法で聴けると思うので、聴いてから観ても面白いのではないでしょうか。アーティストのライブでも曲を知っていた方が面白いと思うのですが、それと同じですね。「この流れで歌っている曲だったんだ!」っていう発見がありますし、過去の出演者の方それぞれの歌い方の違いを聴き比べてみるのも楽しいと思います。楽しみ方に正解があるわけではないので、もちろん全くの初見で来てもらっても大丈夫です!

渡邉さん:劇場に来ていただくと、映像と比べると想像できないくらいの生の音圧というか、迫力のようなものを感じるはずです。一瞬言葉が聞き取れなかったとか、そういったことがあったとしても気にならないくらい、心が震える力があると思います。お客様はあまり気負わず、客席にいていただければ、こちらからできるだけ歩み寄って楽しんでもらえるように頑張ります!という気持ちです(笑)

本作が初観劇、初ミュージカル鑑賞になるお客様もいるかと思いますので、最後にメッセージをお願いします!

三浦さん:この作品を通して皆さんがミュージカルという世界を知って、人生がより彩り豊かになる気持ちを味わっていただけると嬉しいです。そして、また劇場にお越しいただけるきっかけになればいいなと思います。そういう輪を広げていって、たくさんの人に劇場へ足を運んでいただくことも、僕たち俳優の使命の一つだと思っています。

渡邉さん:もし初めてのミュージカル観劇だとしたら、これほどぴったりな作品はないんじゃないかなと思うぐらい、素晴らしい楽曲と劇曲が揃っているので、シンプルに楽しんでいただけたらと思います。そして、僕たちは演じるにあたって色々考えて作り上げていくので、もしお時間があれば「この人たちはどんなことを考えて生きてきたんだろう」とか、ちょっとだけ考えてみていただけたら嬉しいです。

プロフィール

渡邉 蒼(わたなべ あお)

2004年生まれ、東京都出身。小学生時代から子役として活躍。現在は舞台・ミュージカルなど活動の幅を広げ活動中。主な出演作は、大河ドラマ『西郷どん』、連続テレビ小説『なつぞら』、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』、舞台『WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』など。作詞作曲・編曲までマルチにこなすシンガーソングライターとしても活動。

三浦 宏規(みうら ひろき)

1999年3月24日生まれ、三重県出身。5歳でクラシックバレエを始め、数々のバレエコンクールで入賞を果たす。2015年『恋するブロードウェイ♪ vol.4』で本格的なミュージカル作品に初出演。以来、ミュージカル『テニスの王子様』、ミュージカル『刀剣乱舞』、ミュージカル『レ・ミゼラブル』など多数の作品に出演。近年の主な出演作に、舞台『千と千尋の神隠し』、ミュージカル『ヘアスプレー』、舞台『キングダム』、ミュージカル『ジェイミー』などがある。

公演情報

公演名 『デスノート THE MUSICAL』
日程・会場
▶︎お問い合わせ
【東京公演】
2025年11月24日(月祝)〜2025年12月14日(日)
東京建物 Brillia HALL
▶︎ホリプロチケットセンター(03-3490-4949)

【大阪公演】
2025年12月20日(土)~23日(火)
SkyシアターMBS
▶︎梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)

【愛知公演】
2026年1月10日(土)~12日(月祝)
愛知県芸術劇場 大ホール
▶︎キョードー東海 (052)972-7466
 月~金 12:00-18:00 土 10:00-13:00※日・祝日休み

【福岡公演】
2026年1月17日(土)~18日(日)
福岡市民ホール 大ホール
▶︎Eーmail:info@impresario-ent.co.jp
 TEL:092-600-9238(平日11:00~15:00)

【岡山公演】
2026年1月24日(土)~25日(日)
岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
▶︎岡山芸術創造劇場ボックスオフィス
 [窓口・電話]086-201-2200(休館日を除く10:00~18:00)
Webサイト 『デスノート THE MUSICAL』|【公式】ホリプロステージ|チケット情報・販売・購入・予約

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