
阪神・淡路大震災の「復興のシンボル」として2005年に誕生した、兵庫県立芸術文化センター。今年開館20周年を迎える同館主催で、震災をテーマにした舞台『明日を落としても』の公演が行われます。東京では、2025年10月にEX THEATER ROPPONGIにて上演。本作に出演する俳優・牧島 輝さんに、役作りの準備や、作品の見どころ、舞台鑑賞初心者の方にもおすすめの見方について伺いました!

見終わった後に考えさせられる、“前向き”な作品
この作品について教えてください。
阪神・淡路大震災をテーマにした作品で、日常を生きる人々の物語が、震災のあった1995年と現代の2025年を行き来しながら描かれます。実際に震災の被害に遭われた方でなくても、私たち一人ひとりにとって遠くない話です。観終わった後にすごく色々なことを考えさせられると思います。
震災がテーマになっている作品なので、「楽しんでください」とも言い切れず…。ただ、観終わった後に、自分が今生きていることの尊さや、やりたいことをやれている、もしくはやるチャンスがあるということがすごくありがたいことに思えるのかなと。そういう意味で、前向きになれる作品なのではないかなと思っています。

俳優じゃなかったら殴られてみたかった
今回の「ひかる」という役柄について紹介していただけますか?
すごく不器用で正直な青年です。正直すぎてしまうから、周りを振り回してしまい、最終的には自分自身のことも振り回してしまっている気がします。そんな、不器用だけど、愛すべきところがある青年の役です。実は、役名と僕の名前がたまたま一緒で、同じ名前というだけでちょっと好きになります。名前が同じだからって、舞台上であまり素の自分が出てこないようにしたいですけど(笑)
阪神・淡路大震災は牧島さんご自身が生まれた年でもありますが、経験されていない震災をテーマとして扱う作品に出演するにあたって、何か準備されたことはありますか?
もちろん、事実として知っておいた方がいいことは多いので、震災当時どういうことが起きたかは調べられる範囲では調べました。でもこの作品は、震災のことを表現する話というより、その時その場所にいた人々の物語なので、あえて自分の役で震災に関することを表現しようとしなくてもいいのかなと。当時どんな生活があって、どんな人たちがいたのかということの方が大事だと思っています。

今回の役ではボクシングをしたり方言を使ったりするシーンがありますが、役作りのためにすでに準備されていることはありますか?
まず、役が決まってから台本をいただいて、そこでボクシングをやることを知りました。知り合いに格闘技をやっている人がいたので、3、4ヶ月くらい前からその人のもとでボクシングを習い始めて。もともと格闘技がすごく好きで観ることは多かったのですが、実際にやるのは初めてでした。自分と向き合えてすごくストレス発散になりますし、汗をたくさんかくので楽しいですよ。ただ、顔に傷を作らない範囲で練習するのは難しいですね。俳優をやっていなかったら、もっとスパーリングしたかったなって思います(笑)
方言に関しては、正解のイントネーションの音声をいただいて、それを元に自分の芝居と合わせていきます。僕は埼玉出身なので、関西弁の役はすごく難しいです。セリフに抑揚をつけると、イントネーションがずれてきてしまったりするんですよ。相当慣れないと難しいなとは思います。自分で台本を読んでいて、明らかに違うイントネーションで喋っていたと気づいた時は、結構落ち込みます(笑)まずは台本のセリフを完璧な関西弁にすることを心がけていますが、何かアクシデントがあったときにアドリブで喋ったセリフも、エセ関西弁にならないようにしたいですね。

過去と現在の行き来に“置いていかれる”感覚を楽しむ
この作品の見どころはどんなところでしょうか?
過去と現在を行き来する瞬間を、生身で表現しているところです。映像ではないので、もちろんCGは一切使いません。一瞬で30年前に戻るということが、演劇では照明ひとつで表現できたり、「今は30年前です」と言葉で語られるだけで、観客も自然とそう感じる、まるで魔法のようなことが起きるんですよね。 そんな時、観ている側が少し置いていかれるような感覚になることもあると思うんです。でも、置いていかれる瞬間こそ、僕はお芝居を観ていて楽しいと感じます。「今、何が起きたんだろう?」と考える時間も、演劇の楽しさのひとつではないでしょうか。
常に主人公を追わなくてもいい
牧島さんの考える演劇の面白さや魅力を教えてください。
そこに俳優がいて、目の前に物語があって、息遣いまで聞こえてくるような臨場感が魅力です。あと、舞台は映像作品と違って、「常に主人公を追わなくてはいけない」ということもないのが、良いところでもあって。僕自身、舞台をよく観に行きますが、「照明がいいな」と舞台の周りに注目してみたり、観るものを自分で選べる感覚があります。作り手の意図に縛られず、自由に楽しめるのが演劇の面白さだと思います。
また、ミュージカルでは音楽があって、急に踊り出すとか歌いだすっていう非日常の楽しみがあるじゃないですか。だけど演劇では、今回の脚本のように、普段の会話の中から日常につながる何かを見つけていくような楽しみ方ができると思います。演劇は、身近に感じられるから僕は好きなんですよね。
最後に、観客の皆さんにメッセージをお願いします。
観終わった後に皆様が感じることは様々だと思いますが、必ず何か心に残るものがある作品だと思っています。自分自身のことや過去の出来事、何かを考える時間がこの舞台を見終わった後にあったらいいなと思います。難しく考えず、色々な楽しみ方をしていただけたら嬉しいです。

ヘアメイク:石川ユウキ、スタイリスト:中村剛
プロフィール
牧島 輝(まきしま ひかる)
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| 公演名 | 兵庫県立芸術文化センター開館20周年記念公演「明日を落としても」 |
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| 日程・会場 ▶︎お問い合わせ |
【兵庫公演】 2025年10月11日(土)~10月16日(木) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール ▶︎芸術文化センターチケットオフィス(0798-68-0255) 【東京公演】 2025年10月22日(水)~10月27日(月) EX THEATER ROPPONGI ▶︎サンライズプロモーション (0570-00-3337) |
| Webサイト | 舞台『明日を落としても』公式ホームページ | 2025年10月公演 |
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