「観劇に予習はいらない」豪華キャストが“地球滅亡”発表後の日常を描く(竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』俳優:竹中直人さん、生瀬勝久さん/作・演出:倉持裕さん)

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2025年11月、下北沢の本多劇場にて、俳優の竹中直人さん・生瀬勝久さんによる演劇ユニット「竹生企画」の新作『マイクロバスと安定』が上演されます。竹中さん、生瀬さん、そして作・演出の倉持さんの三名に、竹生企画の特徴や、第四弾企画である本作誕生の経緯、舞台初心者に向けたおすすめの演劇の観方を伺いました!

7年ぶりの竹生企画にワクワクが止まらない

竹生企画誕生の経緯や、今作『マイクロバスと安定』の上演が決まったきっかけを教えてください。

生瀬さん:竹生企画は、私が言い出しっぺなんです。竹中さんと二人芝居をやりたくて、十数年前に竹中さんに直談判したところ「二人芝居は嫌だ」と断られまして(笑)「生瀬くん以外の他の役者も出るんだったら、やってもいいよ」と言われたんです。僕は竹中さんとお芝居ができるだけで幸せなので、ぜひとお願いし、竹生企画が始まりました。

1公演で終わると思っていましたが、もう4回目になりました。このメンバーでお芝居が続けられているのが本当に幸せなので、この先もできるだけ長くやっていけたらと思っています。

竹中さん:倉持さんの『まどろみ』と言う舞台を初めて観て、とても感動しました。もしまた舞台をやるのなら、倉持さんにぜひ書いていただきたいと思っていました。そして、竹生企画のオファーをして、初めて倉持さんとお会いしたんです。

倉持さん:竹中さんと生瀬さんに初めて渋谷の喫茶店で会った時は、すごく緊張しましたよ(笑)今回の作品に関しては、以前一度話があがって、とても楽しみにしていたのですが、コロナ禍でなくなってしまったんです。あの時って、公演が無くなることが当たり前になってしまっていましたよね。
竹生企画も公演を3回終えてキリがいいこともあって、「このまま竹生企画はなくなるな。コロナ禍になってしまったから、もうしょうがないな」と思っていたんです。
そんな中で、2年前にもう一度公演をやりましょうという話が上がりました。1回諦めていたので、「また続けられるんだ」ととても喜んだ記憶があります。

竹中さん:前作の『火星の二人』から、あっという間に7年が経ってしまいましたが、また竹生企画ができること、本当に嬉しく思います。僕ももう来年70歳、もう爺さんですが、倉持さんと生瀬さんに支えられて頑張りたいです。ゲストの皆さんがとても新鮮なので、「とんでもない舞台になるだろうな」ととてもワクワクしています。11月8日から30日までの東京公演とその後全国を回るツアー公演で、このようなドクトクなメンバーと長い期間、繰り返し繰り返し、お芝居ができることがとても楽しみです。

竹中×生瀬×豪華ゲストが“緊張感のある日常”を演じる

竹生企画や本作の見どころを教えてください。

生瀬さん:竹生企画は、毎回色んなゲストが出演してくださるのが見どころです。1回目の公演から、「竹生企画に出たあとにブレイクする」っていうジンクスがあるんです(笑)僕と竹中さんと一緒に芝居をするって、多分かなり勇気がいるし、緊張しますよね。でもゲストの皆さんには、芝居の楽しさや、稽古での成果を実感することを味わってもらえるのではないかなと思っています。僕ら二人とゲストたちとのコラボにぜひ注目していただきたいです。

倉持さんの作品は、人間関係とシチュエーションが、大きくかけ離れているところが魅力だと思います。竹生企画は、特にそれが顕著で、緻密につくられた人間関係に対して、とんでもないシチュエーションが設定されます。竹生企画の売りになりつつある、独特の世界観をぜひ楽しんでいただきたいです。

倉持さん:竹中さんと生瀬さんの二人が、長時間ぶつかり合う芝居という企画そのものが魅力だと思います。稽古で二人の掛け合いを見ているのが楽しくて、僕自身も魅了されています。また、今回は初めて本多劇場で上演します。(過去三作を上演してきた)シアタークリエに比べると小規模なので、二人の芝居がよりダイレクトに客席に届くはずです。

今回の物語は、「3年後に小惑星が地球に衝突し、地球が滅亡する」と発表されたあとの世界のお話です。その状況で、今までやってこなかったことをしようとする人と、今までどおりに生きていこうとする人たちの姿を描いています。タイムリミットがくるといっぺんに人が死ぬ、というかなり負荷がかかっている状況ですが、コメディ要素もあるんですよね。日常的な情景の中の緊張感を楽しんでもらえたらなと思います。

竹中さん:そんな倉持さんの脚本にこんな顔ぶれが集まったというのは、もうそれだけで心が疼きます。よくぞこんなドクトクなキャスティングができたなと驚いています。チラシを何度見ても飽きませんね。役者一人ひとりの顔が、すべて見どころになるんでしょうね。皆さんと作る稽古場がどうなって行くのかとても楽しみです。

目の前で繰り広げられるリアリティを直感で楽しんで

お三方にとって、演劇ならではの魅力とはどんな点だと思いますか?

竹中さん:役者さんが目の前にいて、お芝居してるなんてすごいですよね。大学生の時に、初めて舞台を観た時は、自分の目の前で役者が芝居をしているのがあまりにも恥ずかしくて見れませんでした。印象的だったのは、劇団東京乾電池の舞台です。役者が全員客席に背中を向けてお芝居をしているんです。客に向かってお芝居をしてないんです。本当に感動しました。自分が芝居をやるならこれだ!と思い、劇作家の岩松了さんにお願いして竹中直人の会を作り、岩松さんと9本お芝居をやりました。

あとは、悩みながら芝居をしているほうが有機的に見えてくることもあります。伸び伸び演じている役者よりも、苦悩しながら芝居をする役者のほうが観ていて面白かったりもしますね。役者の人間性まで垣間見えて、こんなに面白くてドラマチックなことはないと思います。

倉持さん:竹中さんのおっしゃる通り、生のすごさに尽きると思うんですよね。生だから他のメディアじゃできないことができるんです。僕が初めて観た舞台はイッセー尾形*1さんの一人芝居だったんですが、映画やテレビとは全く違う世界がそこにありました。様々な立場の人間の日常のスケッチが連続するんだけど、生の人間が発しているエネルギーがあって、観ている人も同じ時間を共有しているから、観客の興味を持たせることができるんじゃないかなぁ。他ではできないドラマを作ることができるのは、演劇だけだと思います。

生瀬さん:演劇ってテレビと違ってリアリティが強いと思うんですよ。「盗み聞き」に近いと思っています。例えば、喫茶店でコーヒーを飲んでいる時に、両隣のお客さんたちの話が聞こえてきますよね。その時に、左隣で穏やかで幸せそうな話、右隣で痴話喧嘩をしているのが耳に入ってきたとしたら、痴話喧嘩のほうがなんだか面白くて聞き入ってしまう。

人間って面白いもので、自分の興味のあるものを無意識に見て、聞くんです。テレビなどの映像作品は、観てほしいところをカメラが切り取り、聞いてほしいところをマイクが拾いますが、それに比べて演劇って覗き見、盗み聞きみたいな感じだと思うんです。だから、
役者や演出家は覗き見をしたくなるような、リアリティのあることが起きているように作品を作っていきます。

何も勉強しないで来てください

今回の『マイクロバスと安定』という作品が、初めての舞台鑑賞になるという方に向けて、注目すべきポイントを教えてください。

生瀬さん:僕は、生まれて初めて観た演劇がきっかけで、この世界に足を踏み入れ、今に続いています。人生の転機となった瞬間が、演劇との出会いだったんです。 『マイクロバスと安定』がハマるかどうかは、観る人のその時の気持ちや体調でも変わってくるのでわからないですが、自分がそうだったように誰かの人生の転機になりたいっていう気持ちがあります。そのために、色んなことを一生懸命考えながら、本多劇場にひとつの世界を作り上げるべく頑張っています。

初めてお芝居を観る方には、何も勉強しないで来てくださいっていうことを伝えたいです。見どころや、竹生企画を知らなくてもいいので、フラットに観てほしいなと思います。何も予習をせず、下北沢の駅を降りて、本多劇場まで歩いて、観て、帰る。その一連の流れを楽しんでいただきたいです。


倉持さん:僕も生瀬さんに本当に共感しています。初めて芝居を観るなら、絶対何にも考えないで観た方がいいですよ。どんな話なんだろうとか、今言ったセリフはどんな意味なんだろうとか考えなくてもいい。目の前で起きていることをただ感じるという観方のほうが面白いと思います。

竹中さん:魅力的でありなんともドクトクな方々が集まりました。そんな7人の[顔!]をぜひ生で見届けてほしいです。あの本多劇場に、この顔ぶれが揃ったらいったい何が起きるのか?!瞬きさえ許されず、息もできぬほどの緊張感に包まれつつも、最後には初夏の日差しのような爽やかな気分になって、下北沢の街を軽やかに彷徨うこと間違いなしです!

最後に観劇されるお客様に向けてメッセージをお願いいたします!

生瀬さん:これまで三度上演してきましたが、楽しんでいただけた方には、今回もきっと存分に味わっていただける作品になっていると思います。下北沢はとてもいいところなので、街の雰囲気も楽しみながら初めて観る方にもぜひ足を運んでいただけると嬉しいです。

倉持さん:本多劇場という舞台と客席が近い濃密な空間で、竹中さんと生瀬さんの二人が長時間ぶつかる芝居を観られるというのは、竹生企画だけです。この貴重な舞台をぜひ楽しんでほしいなと思います。

竹中さん:竹生企画が第4回目を迎えられたのも皆さまのお陰です。とても感謝しております。本多劇場の席に座るやいなや、あっ!と言う間のお芝居だと思います!楽しみにしていてくださいね!

*1:1952年生まれ、俳優、コメディアン。 一人芝居のスタイルを確立した「日本における一人芝居の第一人者」と呼ばれる。

プロフィール

竹中 直人(たけなか なおと)

1956年3月20日生まれ、神奈川県出身。 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。その後、劇団青年座入団。83年に『ザ・テレビ演芸』(EX)でデビュー。96年にNHK大河ドラマ『秀吉』で主演を務め話題に。初監督・主演作『無能の人』(91)がヴェネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞、第34回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞したほか、監督作・出演作で受賞多数。その他の監督作に『119』(94)、『東京日和』(97)、『連弾』(01)、『サヨナラ COLOR』(05)、『山形スクリーム』(09)、『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』(13)、『ゾッキ』(21)、『∞ゾッキ平田さん』(22)、『零落』(23)、『たてこもり』(24)など。

生瀬 勝久(なませ かつひさ)

1960年10月13日生まれ、兵庫県出身。 1983年に関西の人気劇団に入団し、俳優だけでなく劇作家・演出家としても活躍。2001年に退団後は、ドラマや映画で多種多様な役柄を演じるほか、舞台では『コンフィダント・絆』(07/三谷幸喜作・演出)、『陥没』(17/ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出)、劇団☆新感線『薔薇とサムライ』(22/中島かずき作、いのうえひでのり演出)、『アンチゴーヌ』(18/栗山民也演出)、『パートタイマー秋子』(24/永井愛作・演出)など、日本を代表する演出家の作品に出演。

倉持 裕(くらもち ゆたか)

1972年10月15日生まれ、神奈川県出身。 学習院大学経済学部経済学科を卒業。劇団「ペンギンプル ペイルパイルズ」を主宰し、作・演出も担当している。戯曲「ワンマン・ショー」では第48回岸田戯曲賞を受賞。舞台の作演出のほか、TVドラマ、映画脚本などでも精力的に活動。2011年より「鎌塚氏シリーズ」の作・演出を務め、自身の代表作となっている。近年は舞台『お勢、断行』(22)、『鎌塚氏、羽を伸ばす』(22)、『歌妖曲~中川大志之丞変化~』、『リムジン』(23)、『帰れない男』(24)『鎌塚氏、震えあがる』(25)の作・演出、舞台『SHELL』(22)、NHK「LIFE!~人生に捧げるコント~」「事件は、その周りで起きている」の脚本など。

公演情報

公演名 竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』
日程・会場
▶︎お問い合わせ
【東京公演】
2025年11月8日(土)~2025年11月30日(日)
下北沢 本多劇場
▶︎キューブ
 03-5485-2252(平日12:00-17:00)

【兵庫公演】
2025年12月5日(金)〜12月7日(日)
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
▶︎芸術文化センターチケットオフィス
 0798-68-0255(10:00〜17:00/月曜休み※祝日の場合翌日)

【広島公演】
2025年12月10日(水)
JMSアステールプラザ 大ホール
▶︎TSSイベント事務局
 082-253-1010(平日10:00~17:30)

【熊本公演】
2025年12月13日(土)
市民会館シアーズホーム夢ホール
▶︎ピクニックチケットセンター
 050-3539-8330(平日12:00~15:00)

【盛岡公演】
2025年12月19日(金)
トーサイクラシックホール岩手 大ホール
▶︎岩手めんこいテレビ
 019-656-3300(平日 9:30〜17:30)
▶︎岩手日報社事業部
 019-653-4121(9:00~17:00)

【久慈公演】
2025年12月21日(日)
久慈市文化会館アンバーホール 大ホール
▶︎久慈市文化会館 アンバーホール
 0194-52-2700(9:00〜18:00/火曜休み)

【青森公演】
2025年12月23日(火)
リンクステーションホール青森 大ホール
▶︎ABA青森朝日放送
 017-762-1111(平日10:00〜18:00)

【長岡公演】
2025年12月27日(土)
長岡市立劇場 大ホール
▶︎NSTイベントインフォメーション
 025-249-8878 (10:00~18:00 土日祝除く)
Webサイト 竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』 | 【公式】株式会社キューブ オフィシャルサイト

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*1:1952年生まれ、俳優、コメディアン。 一人芝居のスタイルを確立した「日本における一人芝居の第一人者」と呼ばれる。