2025年8月に東京建物 Brillia HALLにて、小説を原作とし、映画化もされた人気作の舞台版、ミュージカル『ある男』が上演されます。本作に出演するソニンさん・知念里奈さんに、ミュージカル化にあたっての苦悩や、作品の見どころについて伺いました!

ミュージカル『ある男』ストーリー
愛する夫の大祐を不慮の事故で突然失った谷口里枝(ソニン)は、「愛した人は名前も過去も偽った全くの別人だった」という衝撃の事実を知る。弁護士の城戸章良(浦井健治)は里枝から調査を依頼され、温泉旅館の次男である谷口大祐と名乗っていた男、“X”(小池徹平)とは、いったい誰なのか、大祐の元恋人である後藤美涼(濱田めぐみ)と共に、真相を明かすべく調査にのめりこむ。一方、城戸の家庭では妻の香織(知念里奈)との溝が深まっていき…
作品を読み解くキーワードは“愛”
この物語は、“X”を中心とした「戸籍交換」にまつわる事件が描かれた作品ですが、本作について、お二人の解釈や物語のポイントを教えてください。
ソニンさん:私たちが当たり前に使っていて、大多数の人が普段意識しない「名前」や「戸籍」について悩んでいる人がいるということ、そしてそれを私たちが想像もしない形で使っている(交換している)人がいるということが描かれるのが、本作の特徴です。ざっくり言うと、名前や戸籍などの表面的なラベルを取り払い、「人間そのものの中身、その人の本質は何なのか」について問うのが、この作品の中心にあるテーマな気がします。派手な内容ではないですが、すごく強烈なテーマだと思っています。

知念さん:そうなんですよね。「私って何なんだろう」と考え出すと、深みにはまってしまうような、深いテーマだと思います。劇中に出てくる、弁護士の城戸章良(浦井健治)と事件の調査に協力する後藤美涼(濱田めぐみ)の会話の中に、「人は人を愛する時に何を愛しているんだろう。
その人の過去も含めて、愛してるのかな」っていう台詞があって。私自身、今まで考えたことがない問いだったのですが、深いなぁと思いました。自分個人としても答えが全然出ていなくて、ずっと考えています。
作品に登場する、戸籍を変えた人物たちは皆、自分の過去から逃げたい人たちです。里枝(ソニン)は、Xが戸籍を変えているとは知らずに愛し合うので、彼女はXの過去を知りません。でも、辛い過去があったからこそ、XはXのような人になっている。それはつまり、里枝はXの過去も含めて愛していたとも考えられますよね。
ソニンさん:愛を主体で考えた時に、「愛にとって過去とは?」みたいなことだよね。
知念さん:そうそう。そのあと、美涼(濱田めぐみ)が「人は何度も愛し直す」って言うんですよ。これにもすごく共感しました。
ソニンさん: 確かにそうだなって思った!
知念さん:突き詰めて考えると、「愛」はこの作品の大事なキーワードになっていますね。

想像を具現化する作業はミュージカル化の醍醐味
小説を原作とするミュージカル作品を演じることについては、どんなふうに受け止めていますか?舞台(ミュージカル)ならではの醍醐味や難しさがあれば教えてください。
ソニンさん:舞台では、登場人物の思いとそれぞれの関係性を、小説とは違って化学反応で表現する事になる。舞台ならではの醍醐味は、生の人間がよりリアルに生きている状態を見せられることだと思うんです。さらに、それをより華やかに、より豊かにしてくれる音楽も加わります。 文字を読みながら想像を膨らませるのが小説じゃないですか。一方、文字から想像した風景や色合いを具現化させるっていう作業が舞台の醍醐味だと思います。 今まさに、ミュージカルの構成や音楽を、皆で一生懸命作っているところです。
知念さん:原作の小説や映画のファンの方もいらっしゃると思いますが、ミュージカルで初めて『ある男』という作品を知る方もいらっしゃると思うので、その責任の重さは感じています。(原作の作者の)平野さんが書かれた原型を留めるべきところと、ミュージカルにするために原作とは少し違う部分があったりするので、稽古では葛藤していますね。
ミュージカル化にあたり、原作と違う部分はどのようなところでしょうか?
ソニンさん:ベースとなるストーリーは基本的に同じです。 でも場所がいくつも登場するので、小説のままの世界をひとつの板上(舞台上)で実現させるのは難しいです。そのままだとどうしても物語が成立しないこともあるので、物語の流れを保つためにアレンジをしている箇所がいくつかあります。ミュージカルは、小説と違って途中で止めたり、読み返したりすることはできなくて、一度劇場に入ったら最後まで同じ時間を共にするじゃないですか。お客様と一緒に舞台を通して旅をする中で、「どういう構成が一番楽しんで帰ってもらえるか」がポイントとなるんです。
知念さん:今回のミュージカルの音楽を作ってくれているのは、ジェイソンという素晴らしい作曲家です。彼は歌稽古が始まった頃に「歌い始める前と歌い終わった後には何か場面が変わっているべきだ、それこそがミュージカルだ。」と熱く語っていました。ジェイソンは「なぜセリフではなくて歌で表現をするのか」ということに強いこだわりを持っていて、新作の制作ならではの面白い場面を見させてもらっているなと感じました。

ミステリーを追いつつ、芸術性の高いセットや音楽にも注目
本作の見どころを教えてください。
ソニンさん:稽古初日に演出家が「この作品の登場人物はほとんどアラフォー」とおっしゃっていて、出演者もほぼアラフォーなんです。そういった意味では、酸いも甘いも経験してきた同世代の役者たちがまた共演して、大人の作品を演じるので、アダルトな空気感を感じていただけたらと思います。
それから、初めてこのお話を知る方にとっては、Xは何者だったんだろうっていう、ミステリーを追っていく楽しさがあると思います。「結局Xは誰なの?」みたいなモヤモヤを最後まで引っぱっていて、最後のほうのシーンで種明かしがあるので、その面白さはぜひ体感していただきたいです。
知念さん:今回の作品は、セットや衣装も結構シンプルだよね。
ソニンさん:私は文房具店で働いている場面と、家で生活している場面があるのですが、セットが大きく動いて場面転換をするわけではなく、ちょこっと道具が動くくらい。でも、シンプルだけどすごく素敵なんです。今回は少し映像も使うと話を聞いているので、観ている皆さんの想像を膨らませて、頭の中で完成させるという作業が最後に追加されると思います。そういう意味では芸術っぽさのある作品かもしれないですね。
あと、見どころとしては、私たち2人のデュエットがあるんです。役柄的には同じ場面での絡みが全然ないと思っていたのですが、作品を練り上げていく過程でできた場面です。
知念さん:そうそう!別の空間にいて、直接絡むわけではないんですけど、妻という共通する立場で気持ちが重なる部分を歌う素敵なシーンです。
ソニンさん:ミュージカルでは、女性2人のデュエットって多くないんですが、ジェイソンが良い曲を書いてくれました。男性とのデュエットだと、音の高さが大きく違うので、ハモり方が違って聞こえるんですよね。女性のハモリって、こんなに綺麗なんだと思いました。まだ稽古中でどうなるか分かりませんが、キャストの皆さんからの評判が良いので、カットにはならないと思います(笑)

最後にメッセージをお願いします!
ソニンさん:日本で上演されているミュージカルは比較的海外の作品が多く、登場人物も外国人の設定が多いですが、本作は日本の作品で登場人物は皆日本人なので、その点で身近さを感じていただけるんじゃないかな。演劇や舞台というと、芝居が大きいイメージを持つかもしれないですが、この作品は初心者の方でもすっと入ってきて、繊細な表現を感じてもらえると思います。
知念さん:時間とお金を使って、観てよかったと思ってもらえるような作品にしたいです。どこか特定の部分に注目してほしいというよりも、気づいたら夢中になって観ていたという作品を作るのが理想だなと。今、稽古をしていますが、そんな作品になったらいいねとキャスト同士で話しています。自分と向き合うきっかけや、考えさせられるものを持って帰ってもらえるように、作品を作っていけたらなと思っていますので、ぜひ劇場で応援していただきたいなと思います。

プロフィール
ソニン(そにん)
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知念里奈(ちねん りな)
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| 公演名 | ミュージカル『ある男』 |
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| 日程・会場 ▶︎お問い合わせ |
【東京公演】 2025年8月4日(月)~8月17日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) ▶︎ホリプロチケットセンター 03-3490-4949(平日11:00~18:00/土日祝・休) 【広島公演】 2025年8月23日(土)~24日(日) 広島文化学園HBGホール ▶︎TSSイベント事務局 082-253-1010(平日10:00~17:30) 【愛知公演】 2025年8月30日(土)~31日(日) 東海市芸術劇場 大ホール ▶︎メ~テレ事業 052-331-9966(平日10:00~18:00) 【福岡公演】 2025年9月6日(土)~7日(日) 福岡市民ホール 大ホール ▶︎インプレサリオ info@impresario-ent.co.jp TEL:092-600-9238(平日11:00〜15:00) 【大阪公演】 2025年9月12日(金)~15日(月・祝) SkyシアターMBS ▶︎梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00) |
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